狸の偏読日記

偏読者が思い出したように本について語る

もし文豪がカップ焼きそばの作り方を書いたら

 

もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら (宝島SUGOI文庫)

もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら (宝島SUGOI文庫)

 

 

少し前に編集者が勧めてくれた本。

元はTwitterらしく。

そこでバズったので書籍化してみようかという流れになった。

今風な出生の本である。

 

さて、これはどういうジャンルなのか。

言葉にするのが難しいが

編集者曰く

スタイルを楽しむ本らしい。

 

ここでのスタイルとは

文章のクセ。リズムなんかが相当する。

Aの作家とBの作家が同じようなテーマで

オチも一緒の小説を書いても

どこか感じ方が違う。

そういう盛り付けに差が出る要素を

スタイルと私は理解している。

 

話を戻すと

この本にはあらゆるジャンルの著名人が「カップ焼きそばの説明書きを書く」という設定で

構成されていて中々、面白い。

だが、私が感じたのは企画として面白いが

内容はどうなんだろうかということである。

どれくらいの人間がどれくらいの時間をかけて執筆したのか分からないが

文章から「っぽさ」よりも「作業」という印象を受けてしまった。

 

来年は違う感想かもしれない。

ただ今は

とても残念な読み方になってしまった。

 

私自身、この本に興味を持ったのは

スタイルの幅を広げたいと思っていたが、

どうにも壁にぶつかり上手くいかないことがきっかけにある。

 

私は自分の文章の書き方が好きではない。

評価されたこともあるが

答えは単純でそれしか出来ないからである。

正統派の高等教育を受けた人間と並ぶ時に

同じ正統派では勝てない上に審査員の目に留まらないから、誰も選ばないスタイルを選んでしている。

それが今では二枚目の肌のように馴染んでしまったので、どうにもまいる。